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第2回 失敗しないDXの推進とは?(DXコラム 2/2)

失敗しないDXの推進とは?

前回のコラム「デジタルトランスフォーメーションへ舵を切る国内企業は増加するのか?」でまだDXに着手していないと回答した企業は92%と解説した。
私はその数字に驚愕を受けたが、実はDXを推進した8%の企業も成功していない、そして、失敗している企業が多いのが実情という点についてもっと驚愕している。
なぜそれほど失敗しているのかと言えば理由はいくつかあるが明確なものを解説したい。




①そもそも本当のDXを理解していない。

DXとは、ビジネスモデルの「変革」のことを言う。
よってデジタル・ビジネス・トランスフォーメーションとも言う。
経済産業省「DX推進ガイドライン」では、デジタルトランスフォーメーションを以下のように説明している。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して顧客や社会のニーズを基に、製品・サービス、ビジネスモデルを 変革するとともに業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し競争上の優位性を確立すること。」

つまりデジタル・トランスフォーメーション(DX)とは、顧客視点で自社事業を再構築することや変化の速い市場環境に俊敏に対応する為のビジネスモデルを創造することが前提となる。
デジタル化=IT化=DXではない。
システムを刷新することやIT化を図って業務効率化を進めることをDXとは言わない。
それはかつてトレンドになったBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)と言う。

つまり、DXとBPRを混同してしまっているのが失敗の原因その1。

 

②戦略なき戦術

上記①で解説したとおりDXとはビジネスを「変革」することである。
DXではなく、ビジネス・トランスフォーメーション(BT)の方が分かりやすい。
ということは、まず最初にやらなければならないことは戦略策定である。
ビジネスを創造するとは、ビジネスシーズ(アイディアやビジネスの種)を自社のケイパビリティ(組織遂行力)など実現性や勝率を検証することが必要不可欠だ。
競合よりも優位性を確立してブランドを構築する、これらの一連のプロセスはマーケティング戦略の領域となる。

既存事業から新規事業を考えるケースも同様だ。
自社のケイパビリティ(組織遂行力)を活用して現在の市場環境に最適な新しい事業モデルを考えることや発見することはもちろん容易ではありせんが、様々なマーケティング理論を活用して解へと導きだす。
これもマーケティング戦略となる。

「いわばマーケティング戦略とは、勝率の高いビジネスモデルを設計する為に必要なプロセスである。」

事業をドライブしあるべき姿へ導くためには、当然、会社のGOALを明確に設定しなければならないが、そのGOAL(3年後、5年後、長期的なGOALなど)への道が経営戦略であり、事業単位で実現に向けどのような施策をどのようなアクションで実施するか設計することが事業戦略となる。

ここまで読んでいただいたら理解いただけるかと思うがデジタルトランスフォーメーション(DX)とは戦略なのだ。
したがってシステムを再構築することや業務系アプリを導入することではないことが容易に理解できるだろう。
業務系アプリを導入することは、上流での戦略が策定した際に必要な施策であるなら問題はないだろう。
しかし、そうではない企業が多いから失敗しているのだ。
つまり、戦略なき戦術をどんどん実行しているのだ。

そして最も問題と私が考える原因を次にあげる。

 

③経営者層が関与しない

RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)というワードもバズワードとなった。
ITベンダー、Sierがここぞとばかりにセールスした甲斐もあって多くの企業が導入した。
しかし、RPAを導入し成功した企業は非常に少ない。

「現状のエクセルなどの入力業務が自動化できる。」
「人手不足が解消できる。」
「人と違い24時間RPAは仕事をする。」

などのセールストークで多くの中小企業、中堅企業が採用した。

今回もDXというワードでIT会社がセールスに励んでいる。
また新しいワードに振り回されないことを願うばかりだが、DXは先述したが自社のビジネスを「変革」することである。
経営者層が関与せずして「変革」など成し遂げられるはずがない。

DXはRPAとは違うのだ。
前述のとおりだが、DXをITを活用して業務効率化を図ることや、AIやIOTを活用して何か新しい事業を立ち上げることをDXと履き違えている経営者層が多く、彼らはIT部門などへDXを丸投げし自らDXに関わらないのだ。
これが、現状DXがうまくいっていない最大の理由と考える。

 

コロナ禍で市場構造、消費者の消費行動は大きく変化している。
企業のビジネスプロセスもこれまでの当たり前が通用しなくなった。
急変する「変化」に自社のビジネスをまさに今変革するチャンスだと感じている。

BtoC企業もBtoB企業もサステナブル経営基盤を構築するために是非DXを成功していただきたい。
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