COLUMN経営コラム

経営コラム

『DX成功のカギは顧客体験価値を創造すること』


DXについてのコラム「失敗しないDXの推進とは?(DXコラム 2/2)」(https://cujira.marketing/column/85/)にて真のデジタルトランスフォーメーション(DX)とは、デジタル技術を活用し顧客視点で自社事業を再構築することや変化の速い市場環境に俊敏に対応する為のビジネスモデルを創造することと解説した。

製品至上から顧客至上、つまりプロダクトアウトからマーケットインへのマーケティングの概念が唱えられてから約半世紀経つ。
この概念を近代マーケティングの父とも評されているコトラー博士がこのステージをマーケティング2.0と提唱した。(現在はマーケティング5.0を提唱、このワードで検索すると多くのコラムが出てきますので、ご参照ください。)
まだまだ国内企業でマーケティングを重要視する企業は海外と比べ少ないが、それでも数年前よりは、かなりマーケティングを重要視する経営者が増えたと感じている。

これは企業が保有する(強み、得意とする)技術開発力で製品やサービスを作っても顧客が求めていないものならどれだけ広告費をつぎ込んでも、営業をしても売れないことに気が付いてきたからかもしれない。
或いは、これまで競合でもなかった業種にいた企業が突然自社と同じ業種に参入してきたなど早期に新しいビジネスへと舵を切らないといけなくなったのかもしれない。

日本企業の多くは、開発した技術や製造した製品をどうやって売るか?販促の手法として様々な施策を実行することを主としてきた。
しかし、そもそもそれは顧客が求めているものか?という視点がなかった。
つまり消費者理解に欠けていたのだ。

御社は消費者のことをどのくらい理解しているだろうか?
「当社は顧客と定期的にコミュニケーションをとっている」
「CRMを導入し顧客管理をしている」
「マーケティング部門で顧客データの収集、解析をしている」
「長年のデータや経験で理解している」
などのように消費者理解ができていると言うかもしれないが、私の経験則では表層の理解のみで深層まで理解できている企業は少ないと感じている。

今回タイトルテーマ『DX成功のカギは顧客体験価値を創造すること』
DXを成功する為に、製品・サービスではなく顧客体験価値の創造だと述べた。
つまり、DXを実現するためにはまずやらないといけないことは「消費者理解」なのである。
DXのスタートラインと考えてもよい。
ここがぶれてしまうと後の道がぶれてしまい結果失敗に終わる。

マーケティングのフレームワークに有名な3C分析(大前研一氏が提唱)がある。
有名な理論故、ご存じの人も多いだろう。

一応解説すると、自社(Conpany)競合(Competitor)顧客(Customer)の3つの立場から分析することで自社の競争優位性を見出す理論だ。
この中に『顧客』があるので3C分析をしている方は「顧客のことを理解している」と言うかもしれない。
ペルソナなど顧客像を作成したり、消費者アンケートを実施したりしているだろう。

しかし、実際には顧客の対象が個人の場合は消費者理解をすることは容易ではない。
人は心理的思考で行動するので消費者の意思決定や購買行動を正確に捉えるためには、脳神経科学、認知科学、心理学などを駆使する必要があるからだ。
故、消費者アンケートで得た回答は当然にアンケートの設問内容によってバイアスが生じてしまうし、ペルソナに至っては誤った視点で作成するとまったく目的・論点とは異なるペルソナになってしまう。
先述した消費者の表層しか理解していないとはこのような行動が起因していると考えてもよい。

「たぶん○○だろう」「今まで○○だったから□□のはず」というような安易な判断で消費者を理解しているはずと判断しないことが肝要だ。
正しく消費者理解ができれば、成功確率の高い商品企画、ビジネスモデルの創造が可能となる。
DXを推進する上で是非、消費者理解を第一歩としていただきたい。

  • フォームでのお問い合わせ・ご相談

    まずはお気軽にご相談ください。